フェルミ推定を解いてみましょう

フェルミ推定が思考法の一種であることは、以前書いた記事でも説明しました。そして、この思考法を鍛えるには習うより慣れよで、とにかく問題をこなすことが一番の近道だとも書きましたね。そこで、1つ問題を作ったので解いてみましょう。

 

問. 日本にいる犬の数は何頭か?

犬です。猫ではありません。

どんな問題でも、フェルミ推定をすると決めればやるべきことは次の5ステップです。

  1. 前提確認
  2. アプローチ設定
  3. モデル化
  4. 計算実行
  5. 現実性検証

順番にやっていきましょう。

 

Step1. 前提確認

この問題では犬の数を計算するわけですが、犬とはなんでしょう? 別にチワワは犬に含まないとか、そんな話じゃないですよ。ここで言っているのは、どのような状態の犬について数を調べるか決めるということです。

例えば、家庭で飼われている犬、野生に生きる野犬、保健所に居る処分を待つだけの犬、研究室で飼われている実験用の犬なんてのもいますね。このように、様々な場所にいる犬の数を全て計算するのは大変です。なので、今回は最も数が多いであろう犬、つまり家庭で飼われている犬のことを計算で求めようと思います。

 

Step2. アプローチ設定

前提確認が済んだら、次はどのようにアプローチするかを考えます。

まず、家庭で飼われているわけですから、日本にある家庭の数、つまり世帯数は必要そうですよね。例えば、日本にある家庭の数が1000世帯で、そのうち10%が犬を飼っているなら、犬の数は1000世帯×10%=100頭という計算になります。

この計算で分かるように、犬を飼っている世帯の割合も必要になりそうですね。そして忘れてはいけないのが、飼われている犬の数です。すべての家庭で犬は1頭しか飼われていない……なんてことはあり得ないですからね。

というわけで、日本にいる犬の数=日本の世帯数×犬を飼っている世帯の割合×1世帯で飼われている犬の数で計算できることが分かりました。

 

Step.3 モデル化

フェルミ推定もいよいよ折り返し地点に到着しました。そして、ここが一番大事な部分でもあります。頑張っていきましょう。

モデル化では、アプローチ設定で考えたアプローチの方法に具体的な数値を入れます。今回で言えば、日本の世帯数と犬を飼っている世帯の割合がそれぞれどのくらいなのかを調べるということですね。早速やってみましょう。

 

日本の世帯数

まず、1家庭の人数を3人だとします。夫婦に子供が1人いるという設定ですね。もちろん、子だくさんの家庭も、逆に一人暮らしをしている人も多くいるでしょう。しかし、一番割合が多いのは3人でしょう。少し前なら4人としていたところですが、少子化が進んでますからね。

日本の人口は分かりますよね。約1億3000万人です。これくらいならGoogleで調べるのも良いでしょう。「日本 人口」でグラフ付きで教えてくれます。流石はGoogle。

世帯数=人口÷1世帯の人数ですから、これで日本の世帯数が分かりました。

 

犬を飼っている世帯の割合

これを考えるとき、まず2つ考えないといけないことがあると気づきますか? つまり、以下の2つです。

  1. ペットを飼っている世帯の割合
  2. ペットが犬である割合

フェルミ推定は論理的な思考を鍛えるトレーニングです。そのためには、自身の持つ知識を総動員する必要があります。この辺は完全に知っているか知っていないか、つまり知識の問題ですから、今回は気づかなかったなら次回は気づけるように覚えておきましょう。ペットを飼っている割合を調べて、その中でペットが犬である割合を調べる。考えてみれば当たり前のことだというのが分かると思います。

まず、ペットを飼っている割合ですが、これを50%とします。2世帯あれば片方は何かしらペットを飼っているという計算です。

次にそのペットが犬である割合ですが、ペットと言えば犬と猫という風潮があります。それを考えれば、まず犬と猫で過半数の60%は占めているはずです。となれば、犬は30%くらいでしょうか。犬:猫:その他=30:30:40というわけですね。

もしかしたら、その他が40%なのは高すぎると思ったかもしれません。ですが、それは間違いですよ。どんなその他には鳥やら爬虫類やら、果ては昆虫まで含まれているんですから、このくらいが妥当だと思います。大抵のグラフで、その他の占める割合はかなり大きいはずですよ。分類できるものをあえてひとまとめにしているわけですからね。

というわけで、犬を飼っている世帯の割合=50%×30%だと分かりました。

 

飼われている犬の数

まず、一番多いのは1頭だけ飼っている家庭だということは想像がつくと思います。逆に、3頭も4頭も飼っている家庭は少ないだろうなというのも想像できますよね。ペットって高いし世話も大変ですから、何頭も買えるだけの経済力と余裕のある人はそう多くはないでしょう。今回は1頭飼っている割合を50%、2頭飼っている割合を40%、3頭飼っている割合を10%とします。4頭以上飼っている家庭の割合は無視しました。どうせ計算しても大して計算結果は変わらないでしょうからね。

さて、ここから1世帯で飼われている犬の数を計算できますか? ここでは期待値という考え方を使います。詳しい説明はフェルミ推定に無関係なので省きますが、要するにこれで計算できるということです。

1世帯で飼われている犬の数=(1頭×50%+2頭×40%+3頭×10%)

これで、全てモデル化が完了しました。

 

Step.4 計算実行

では、設定したアプローチにモデル化した数値を入れて計算してみましょう。

日本にいる犬の数=日本の世帯数×犬を飼っている世帯の割合×飼われている犬の数

=(1億3000万人÷3)×(50%×30%)×(1頭×50%+2頭×40%+3頭×10%)

=(4333万世帯)×(15%)×(1.6頭)

=1040万頭

よって、日本にいる犬の数は1040万頭であると分かりました。

 

Step.5 現実性検証

ネットビジネスをしている我々にとって、フェルミ推定で大切なのは計算結果ではなく思考法そのものです。とはいえ、せっかく求めた答えですから本当に正しいのかどうかは気になるとことでしょう。そこで、ちょっと調べてみました。

調べてみると、「一般社団法人 ペットフード協会」という団体がペットとして飼われている犬の数を調べていました。その数は987万8千頭。つまり約990万頭ですね。

計算結果との誤差は約50万頭。これはかなり正確だと言えるんじゃないでしょうか。

 

フェルミ推定で思考力を鍛えましょう。

今回の問題はどうでしたか? 簡単だった、もしくは難しすぎた。色々な感想があると思いますが、大事なのはこの問題を自分の頭で論理的に考えたという経験です。その経験を積み重ねることがフェルミ推定をマスターする近道になります。

ちなみに、自分で問題を考えるのが難しい、解説付きの問題を解きたいという人にはこの本をお勧めしておきます。


現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート――「6パターン・5ステップ」でどんな難問もスラスラ解ける!

この本、最初の方にはフェルミ推定の解説も載っていますが、本質はフェルミ推定の問題集です。日本にいる猫の数を求める問題もありますよ。書いたのが現役東大生であることはどうでも良いですが、フェルミ推定の問題集としては貴重な一冊です。持っていて損はしないと思いますよ。

 

 

余談

余談ですが、今回の計算結果をもっと実際の数に近づけることは出来ないかとあれこれやってみたところ、

飼われている犬の数=(1頭×53%+2頭×42%+3頭×5%)にすると988万頭になりました。やはり、3頭以上飼っている家庭は少ないということなんでしょうね。