あなたはフェルミ推定という言葉をご存じだろうか。
Googleの入社試験で登場してからは多数の企業で利用され、その対策本が書店に並ぶようになってから結構な時間が過ぎました。

ですが、一度も聞いたことが無いという人や、名前は知っているがやってみろと言われたら出来ない人というのは、まだまだ多い印象を受けます。

これは非常にもったいないことで、特にネットビジネスをやるならば知っていて損はしない考え方です。せっかくなので、今日のうちに覚えて周りと差を付けましょう。

フェルミ推定とは何か?

そもそも、フェルミ推定ってどんなものなのか? 先に言っておきますが、フェルミ推定はこれさえ知っていれば簡単にビジネスが成功する、魔法のようなものではありません。たまにそんな事を言っている人を見かけるので、あらかじめ言っておきます。
では、フェルミ推定とは何なのか?正解を言ってしまうと、これは論理的思考法の1つです。Wikipediaには以下のように書かれていますね。

フェルミ推定(フェルミすいてい、英: Fermi estimate)とは、実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。オーダーエスティメーションや封筒裏の計算(英語版)ともいわれる。

元々は物理学の分野で発見された概算の方法、つまり計算方法の1種なのですが、ネットビジネスの世界ではこれを計算以外に論理的思考法としても利用します。
と言われても、いまいちピンとこないでしょう。百聞は一見に如かず。実際にやってみましょう。

フェルミ推定を実際にやってみよう

問. アメリカのシカゴには何人のピアノ調律師がいるか?
よほど特殊な理由がない限り、実際の人数を知っている人はいないでしょう。じゃあどうやって答えを求めるか? その方法を考えていきましょう。
ちなみに、これはフェルミ推定の生みの親、エンリコ・フェルミが実際にシカゴ大学で学生に出題した問題だそうです。由緒正しいですね。

Step1. 答えを出すために何が必要かを考える

この問題を見たとき、まずは何を考えれば良いでしょうか?
アメリカの統計局に問い合わせて職業人口の調査結果を教えてもらう、というのも良いですが、少々手間がかかります。まずは手持ちの知識のみでどうにかできないかを考えてみましょう。
さて、手持ちの知識と言いましたが、具体的にどんな知識があれば答えにたどり着けるでしょう?
とりあえず、ピアノ調律師が働こうと思えばピアノが、さらに言えば日常的に利用されており、定期的なメンテナンス、つまり調律を必要とするピアノが必要そうですよね。
つまり、シカゴに調律が必要なピアノはいくつあるのか?これはまず必要な気がしますね。
他にも、一人のピアノ調律師の仕事量も必要になりそうです。
極端な話ですが、1年間で調律が必要なピアノの数が10台で、1人のピアノ調律師が1台のピアノを調律できるなら、全てのピアノを調律するには10人のピアノ調律師が必要だという計算になります。
流石に1年で1台のピアノしか調律できなければ仕事にならないでしょう。では実際にはどれくらいの数を調律できるのか? これが仕事量です。これも必要そうですね。
というわけで、答えを出すにはシカゴにある調律が必要なピアノの数とピアノ調律師の仕事量が必要だろうと予測できました。

Step2. さらに、答えを出すために何が必要かを考える

Step1では調律が必要なピアノの数とピアノ調律師の仕事量が分かればピアノ調律師の人数が計算できることが分かりました。
ですが、これらの数を知っている人はまずいないでしょう。
なので、これらの数を計算するには何が必要かをさらに調べます。

シカゴにある調律が必要なピアノの数はいくつか?

実は私の家にはピアノがあるのですが、一般的に、ピアノがある家庭は少ないだろうということは予想できます。具体的にどの程度の割合かまでは分かりませんが、多く見積もって1割がいいところではないですかね。10世帯あれば1世帯くらいはピアノを持っているだろうと予想します。
となれば、シカゴにある世帯の数が分かれば、その1割がピアノを持っていることになりますよね。これなら計算できそうですね。
では、シカゴの世帯数はどのくらいか?
乱暴な計算ですが、1世帯の人数を平均で3人としましょう。夫婦に1人の子供がいるという予想です。もちろん実際には子だくさんの世帯も、一人暮らしをしている人も大勢いるでしょう。ですが、平均すれば3人くらいになるだろうと予想します。
さて、1世帯の人数が3人ならば、シカゴの世帯数は人口が分かれば計算可能です。人口を3で割ればいいだけですからね。
シカゴの人口は適当に300万人……と、しても良いのですが、これくらいなら簡単に調べられそうです。実際にGoogleで「シカゴ 人口」と調べてみたところ、2016年の人口は270.5万人だとグラフ付きで教えてくれました。ここでは計算しやすいよう約270万人としておきましょうか。
さて、これでシカゴにあるピアノの数が計算できますね。
まず、シカゴの世帯数が270万人÷3人=90万世帯
このうち1割がピアノを持っているわけですから、
90万世帯×1割=9万台
シカゴには9万台のピアノがあることが分かりました。
ここからさらに調律が必要なピアノの数を調べるわけですが、これはGoogleで簡単に調べることが出来そうです。というわけで「ピアノの調律 頻度」で調べてみたところ、最低でも1年に1回は調律する必要があるそうです。流石Googleですね。何でも教えてくれます。
ということで、調律が必要なピアノの数は1年で9万台であることが分かりました。

ピアノ調律師の仕事量

ピアノ調律師が1日に調律できるピアノの数を、適当に3台としましょう。
ネットビジネスでもしていない限り、大抵の人は平日に働いているものです。ピアノ調律師といえども例外ではないでしょう。
ということで、週休2日で働いているとします。年末年始や祝日を諸々含めて年間休日120日とすれば、1年の労働日数は約240日になりますね。
ということは、1人のピアノ調律師が1年で調律するピアノの数は、
3台/日×240日=720台
1年で720台を調律していることになります。

これで、答えを出すために必要な数字がすべて分かりました。
あとは計算するだけです。
ちなみに、今回はこの程度の量で済みましたが、推定するものによってはここで答えが出ないことがあります。
その場合は、数が分からないものに対してさらにフェルミ推定をします。
この流れを繰り返し、最終的に全てに対して予想の数を出すことができれば準備完了です。

Step3.答えを出す

Step1. で、答えを出すにはシカゴにある調律が必要なピアノの数とピアノ調律師の仕事量が必要だろうと予測しました。
Step2. ではそれぞれが9万台、720台であることを予測しました。
では、ピアノ調律師の人数を計算しましょう。
9万台÷720台=125人
よって、シカゴにいるピアノ調律師の人数は125人である。と言うことになります。

フェルミ推定は役に立つのか?

この結果を見て、もしかしたらがっかりしたかもしれません。こんな適当に数を決めていたら正確な答えなんて出るはずがない。そう思いましたか?
実はその通りで、ここで求めた結果が本当に正しいとはとても言えません。
ですが、逆に考えて見てください。もしも今回適当に決めた数を、ちゃんと調べた正確な数に置き換えたらどうなるでしょう。かなり正確な結果を計算で求めることができるとは思いませんか?
最初に書いた通り、フェルミ推定は論理的思考法の一種です。誤解を恐れずに言えば、結果はどうでもいいんです。全くわからない問題に対して、論理で道筋を立てることができる。それが重要なんです。

ネットビジネスにおけるフェルミ推定の使い方

ネットビジネスでは、全く未知の領域に自ら足を踏み入れなければならないときがあります。例えば、新しくアフィリエイト用のブログを立ち上げるときなんかがそうですね。
ブログを立ち上げたのは良いが、どれくらいの収益が見込めるのか全くわからない……では話になりません。
このジャンルの総アクセス数は〇〇件だから、自分のブログへのアクセス数は全体の〇割として、その中から商材の購入に繋がるのは自分のコピーライティングスキルなら〇〇%だから、収益は月〇〇万円になるだろう。
このように考えてから行動するわけです。
全く何もわからないより、概算でも具体的な数字が分かってるほうが安心して取り組めると思いませんか?
この筋道を立てるために、論理的思考が必要なんです。
ネットビジネスをやるなら、論理的思考ができることは絶対に損になりません。そんなに難しいものでもないですが、ある程度練習して慣れないとサッと計算するのは難しいと思います。ネット上にもフェルミ推定の問題はたくさんありますし、問題集のような書籍もあります。これらを使ってサッと計算できるようになっておきましょう。